交通ルール啓発ブログ

 国民審査を受ける最高裁裁判官の「仰天判決」をご紹介

いよいよ明日、衆議院選挙の投開票が行われます。自民vs民主の政権選択が問われる選挙になりそうですが、他にもうひとつ国民の審判を問う投票が行われます。いうまでもなく、「最高裁判所裁判官国民審査」です。
今回国民審査を受ける9人の裁判官の経歴や関与した裁判の判決内容は、既に新聞や公報などでご覧になった方も多いかと思いますが、当ブログでは公表されていない注目判決を探し出してきましたのでご紹介したいと思います。

簡単に仕組みについて説明すると、15人いる最高裁判所の裁判官のうち、任命後に初めて総選挙の期日を迎えた裁判官と、前回の国民審査で信任を受けてから10年を経過した後に初めて行われる総選挙の期日を迎えた裁判官が信任投票の対象(憲法79条2項)。ちなみに今回対象となる裁判官は、すべて2005年の「郵政選挙」後に任命されたので前者となります。手続きは「法の番人」を託したくない、つまり「罷免させたい(辞めさせたい)」と思う裁判官に×印を付けるだけです。(逆に罷免しなくていいと思う裁判官に○などの印を一切付けてはいけません。無効票となってしまいます。)
そして、国民審査の有効投票数のうち「×」が過半数を超えた裁判官は、「クビ」すなわち罷免されるということになる訳です(最高裁判所裁判官国民審査法32条)。

今回、国民審査を受ける9人の裁判官を公報で示されている主な判例とともに紹介すると・・・

  • 櫻井龍子(行政官出身)
    • 継続的な金銭消費貸借取引における過払金返還請求の消滅時効は、特段に事情がない限り、同取引が終了した時点から進行する。(平成21年1月22日・最高裁第一小法廷判決)
  • 竹内行夫(行政官出身)
    • 一般運転者として扱われ、優良運転者である旨の記載のない免許証を交付されて免許証の有効期間の更新処分を受けた者は、優良運転者に当たるとして同更新処分の取消しを求める訴えの利益を有する。(平成21年2月27日・最高裁第二小法廷判決。ちなみにこの判例は、先例として小生(もこ)が原告となった「更新処分取消請求事件」で出されている。
  • 涌井紀夫(裁判官出身)
    • 警察官が私費で購入したノートに記載していた取調べメモについて、裁判所は証拠開示を命ずることができる。(平成20年9月30日・最高裁第一小法廷決定)
  • 田原睦夫(弁護士出身)
    • 広島市暴走族追放条例について、一般人からは規定の限定解釈をすることは困難であって、条例は憲法21条1項等に違反する。(平成19年9月18日・最高裁第三小法廷判決での反対意見)
  • 金築誠志(裁判官出身)
    • 交通違反等の取締りに当たる捜査車両の車種やナンバーを知ろうとして、警察署の中庭を囲む塀の上に上った行為について、建造物侵入罪の成立を認めた。(平成21年7月13日・最高裁第一小法廷←捕まったのは誰でしょう?「私だ」という方はコメント欄にご一報を!
  • 那須弘平(弁護士出身)
    • 満員電車内の痴漢事案において犯人と断定するには合理的な疑いが残るとして、1・2審の有罪判決を破棄して無罪とした。(平成21年4月14日・最高裁第三小法廷判決)
  • 竹﨑博允(裁判官出身、現・最高裁長官)
    • 福島県内に設置された有害図書(要するに「アダルト物」)DVD販売機が監視カメラで買う客を監視していたとしても、青少年育成条例違反で有害図書販売において義務付けている対面販売とはいえないから、同条例違反で有罪とした。(平成21年3月9日・最高裁第二小法廷)
  • 近藤崇晴(裁判官出身)
    • 広島市暴走族追放条例が禁止する「集会」は、本来の暴走族のほかに服装・旗・言動で暴走族に類似する集団によって行われているものに限定されているから、集会禁止の規定は憲法21条1項等に違反しない。(平成19年9月18日・最高裁第三小法廷判決での多数意見。)
  • 宮川光司(弁護士出身)
    • 「立入禁止」の看板を建物に取り付けようとした人を阻止するためにおこなった暴行は、正当防衛が成立する余地がある。(平成21年7月16日・最高裁第一小法廷)

の各氏となっています。

で、ネットで「外国人の偽装結婚を助長する」との批判のあった

日本人を父、フィリピン人を母に持つ非嫡出子が父親から認知されたことを機に日本国籍取得の申請をしたところ、父母に婚姻の事実がないことから国籍取得を認めないのは憲法14条1項(法の下の平等)に違反する。

- 平成20年6月4日・最高裁大法廷判決

との判断を下した裁判官に、涌井行夫・田原睦夫・那須弘平・近藤崇晴の各裁判官が連ねていることから、この判例が国民審査にどう影響するかということも関心が集まっているようです。


さて、ここからが本題。
小生の私見なのですが、公報に載る判例というのは大抵が「民衆にとって聞こえがいい」と思わせる香りを漂わせているな、という感じが前々からしておりまして、他にどのような判決を出しているのか非常に興味が湧いてきたので、「第一法規・判例体系」という専門の判例サイトで調べてみました。
すると、出るわ出るわ・・・期待に違わぬ「仰天判例」が。

まず、竹﨑博允裁判官

万引きをした被告人に対し、警備女性(万引保安員)から「会計が終わっていないでしょ、(犯行を)初めから見ていたんですよ」と声を掛けられたことに憤激し、「てめえ、この野郎。ただじゃすまねえぞ。」と言いながら警備女性の着衣を掴んで路上に引きずり倒して頚部(首)を両手で締め付けても、逮捕を免れる目的でしたのではないから「事後強盗罪」は成立しない

- 平成8年2月7日・東京地裁刑事第1部判決(竹﨑氏が地裁裁判官だった当時の判決)

簡単に言うと、事後強盗(居直り強盗)は窃盗(万引き)よりも罪は重くなります。で、竹﨑裁判官はこの様子から「見つかったので、襲ってひるんだところで逃げよう」とはどうしても思わなかった、ということなんですね・・・首を絞めても「強盗」ではなく「窃盗」なのだと。保安員から「あやしい」と声を掛けられて腹がたったので首を絞めて、気が済んだので「はい、万引きをしました。」などと白状する人物がこの世に存在すると言っている訳です。そんな人は本当にいるのでしょうかねぇ?

次に、近藤祟晴裁判官

刑事被告人の未決拘留中(判決確定前に拘置所等で身柄を拘束している間)での護送中の写真の掲載は肖像権の侵害にあたり、不特定多数の人に頒布した(広めた)ことにより屈辱感・羞恥感の「精神的苦痛」を与えたことはプライバシーの侵害にあたる

- 平成5年5月25日・東京地裁民事第26部判決(近藤氏が地裁裁判官だった当時の判決)

今、テレビマンは世間を騒がせている「元芸能人」の人たちが保釈される様子を中継しようと躍起になっているそうですが、これもNGだと近藤裁判官は考えているようです。これじゃ、テレビを見ながら「あれ、の〇ピーが乗っているワンボックスカーって、CMに出演している車じゃないね。」などと、囁くこともいけないみたいです。

続いて、涌井紀夫裁判官

少年グループのリンチにより被害者が死亡した事案につき、暴行の様子を傍観するグループのメンバーには暴行している仲間を制止すべき義務はない

- 平成20年2月28日・最高裁第一小法廷判決

・・・何をか、いわんや。

最後に、田原睦夫裁判官

女性を付け狙い、背後からカメラ付き携帯電話で「細身のズボン(スパッツのことか?)」を履いた女性の臀部(お尻)を1~3メートルの距離で撮影しても、ズボンに覆われた女性の臀部は「スカートの中」とは異なり周囲の誰もが「視ること」ができ、臀部自体は性的な意味合いが低くて排泄に直接結び付くものではないから、盗撮行為(都道府県迷惑防止条例違反)にはあたらない。しかし、顔を臀部に近付けて視るのは「卑わい性」が認められるので迷惑防止条例違反にあたる

- 平成20年11月10日・最高裁第三小法廷判決での反対意見

読んでいて、大笑いしてしまいました。
これって、田原裁判官の主観が如実に表れていると思いませんか?ヒップラインに異常な興味を持つ「尻フェチ」の人にとって「朗報」と短絡的に思いでしょうが、女性にとって迷惑なのには変わらないのですから盗撮行為をするのは絶対に止めて下さいね。

【追記】  やはりといいますか、国民審査の対象になった裁判官は全員信任されました。(8/31付iza
有権者が罷免を求めた率は有効投票数の6~7%台だとのこと。この数値はネットの影響力を知る一つの指針といったところですか・・・ね。


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