交通ルール啓発ブログ

 他人にモラルを問う人のモラルが知れた、一つの例(を思い過ごす)。

いやー、世の中3連休ですね。皆さんはどのように過ごしてますか。
小生は、他人様のブログを覗くことが多くなっています
(なら、更新しろよとの声があるかも・・・)。内容に感心したり、ブログ運営のヒントを得たりすることがあります。
その中でも、内容に興味を持ったブログやホームページにコメント欄や掲示板があればコメントを遺したりすることも多いのですが、先日、小生がコメントを遺したブログの運営手法が非常に気になったので、今回取り上げさせてもらいます。

(今回エントリーを書くに当たって、上記ブログの出典を明らかにするかどうかを現時点まで悩みましたが、皆さんにも直接ご覧頂いたほうが建設的かつ自由闊達なご意見を頂けるのではないかと考え、リンクを張らせて頂きました。)
撮影に関わる法的問題について(リプトンCM) - ISOLOGUE by 磯崎哲也事務所

当該ブログ内容の趣旨をかいつまんで言うと、女子高生が憧れの男子生徒と「2ショット」が撮りたいと思っていたけれども声がかけられない・・・そこで、友人に頼んでこっそりと男子生徒の後ろに回り込んだところをデジカメで写真に撮ってもらう(当然、男子生徒には承諾を受けていない)というCMシーンについて、女子高生の上記行為の違法性の存否と、倫理的な観点から「これはCM上の演出です。撮影には本人の許可が必要です。」と明示することの必要性について、閲覧者にブログのコメント欄へ各々書くよう募る、というものです。

この設問を出したのは公認会計士税理士(面倒くさいので、以下単に「税理士」)だという。一般人の肖像権という設問は法学に籍を置いていた者としては興味があるところだし、ブログに記された名前を調べると、日本公認会計士協会や東京税理士会の「会員検索」にも登録者として氏名が記されているうえにブログには顔写真まで載せてまで、ブログ執筆者の素性を自ら明らかにしています。それだけ「看板」を背負いつつブログを書いている訳だから、無粋なことはしないだろう、と思いコメント欄に小生の見解を書きこんでみました。論旨は以下の通り。

肖像権の判断については、公的機関に属する警察官がデモに参加中の私人を撮影する行為に付き、「憲法13条は、国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているものということができる。そして、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容貌・姿態を撮影されない自由を有するものというべきである。これを肖像権と称するかどうかは別として、少なくとも、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容貌等を撮影することは、憲法13条の趣旨に反し、許されない。」との判断がなされている。(最高裁昭和44年12月24日大法廷判決・京都府学連デモ事件)

憲法13条の規定は国家(地方公共団体を含む)が私人に対して幸福追求権を保障するものであり、私人が私人の権利侵害をした場合には直ちに適用されるものではないが、私人間においても「一般人であれば、自己がかかる写真を撮影されることを知れば心理的な負担を覚え、このような写真を撮影されることを望まない」と解される。(東京地裁平成17年9月27日判決)

写真の撮影が公共の利害に関する事項と密接な関係があり、専ら公益を図る目的で行われ、方法がその目的に照らし相当なものであれば、肖像権の侵害は阻却されるが(上記東京地裁判決)、本件においては撮影者の個人的趣味によるものであり公共性・公益性・相当性も見いだせないので肖像権の侵害が認められる。

以上により、許可なく他人を撮影した場合は肖像権の侵害に当たる。

尚、ほかに「他人の肖像はその他人の承諾を得ていない限り、商標登録を受けることができない。」とされていることから(商標法4条1項8号)、著名人がその肖像その他の顧客吸引力のある個人識別情報の有する経済的利益ないし価値を排他的に支配する権利(パブリシティ権)を有するともいえるが(東京高判平成11年2月24日・キング・クリムゾン事件)、一介の高校生であればこの利益は当然認められないので割愛する。

最近は、企業のコンプライアンス(法令遵守)が強く要請されている。通常は企業を経営する上で法令を遵守する姿勢を表すことにより企業の社会的なイメージが高まり、ひいては株主・顧客・従業員の利益保護につながることを指すが、一方で企業活動をする上で違法ではないものの違法行為を助長する「脱法行為」を指南するがごとき事をしない事も求められているといえよう。
以上から、アドバタイジングの表現方法に「脱法行為」があるものの、表現上どうしても排除することが出来ない場合に「演出」であることを強調することにより、企業の社会的イメージを低下させないように事前的予防を講じているものと考えられる。

あれ、「短い期間にコメントを大量に送りすぎです。しばらくたってからやり直してください。」とのメッセージ・・・500エラー連発!いやいやコメント小分けにして1時間以上おいて送ってるんだがな。
時間は既に深夜の3時を大きく回っているし・・・どうしよう、このヤル気。icon:face_shout

何度か繰り返したが全く書き込めない。同時に税理士のブログにトラックバックしている別のブログにもコメントを残しておき、とりあえずこの日は終了。

その後、会社でメールを確認がてらその税理士のブログを見ると、コメントが復旧したということなので設問の答えを書きこんでおいたが、数日経っても設問を「出題」した税理士の見解は全くUPされない。
別の閲覧者が「法律クイズの正解は何ですか。」と訊いてきた時の、税理士の回答がこれです。

「法律クイズ」って、リプトンのCMののことでしょうか?
法律というのは「正解」はないので、各自、そういう問題意識のもとに資料をお調べいただいて考えていただくのがよろしいのではないかと思います。
(といってサボる。)

答え?いちいち書くの面倒くせえじゃん。
別にさ、閲覧者とコミュニケーションを取ろうだなんて、ハナから思ってない訳。

という考えだったのですかね。あるいは・・・

俺は法律の専門家だよ。
専門家から、タダで解釈を聞こうだなんて
何言っちゃってるの?

と、実業者としての利害考量にベクトルが傾いたのかも知れません。

この税理士さん、いわゆる「アルファブロガー」としてメディアのインタビューにも答えるなど高名なお方のようです。それほど高名なセンセイが、他人に時間を割かせてまで法的見解を求めながら面倒くさいからスルーしちゃうのは、実務家のイメージ戦略としてマイナスにはなってもプラスにはならないように思えて仕方がないのですけど。

かのブログを拝見しますと、盛んに「コーポレート・ガバナンス」(直訳すると「企業統治」、転じて主に「企業の管理責任の所在」という意味合いで使われる事が多い。)という言葉が盛んに登場するのですが、「コーポレート・ガバナンス」以前に業務上の「マネジメント・アカウンタビリティ」(業務管理者の説明責任)を果たしているのかが非常に気になります。

ま、うちの本社の法務関係は弁護士法人に任せているようなので、小生が二度とこのブログを読むことがなければこのセンセイと社会生活上で何らかの接点を持つことはまずない筈でしょうから、はっきりいって「どーでもいいこと」なのですが。

このエントリーをUPしたせいで、「どーでもいいこと」じゃ済まない状況になってしまいました。
詳細は続編をご覧下さい。


 トラックバック(1件)

from isologue - by 磯崎哲也事務所

その「リプトンCM」の記事は、法律の試験問題のパロディーの形を取ることで、CMの初々しさや、そのどこに企業法務上の問題があるか、CMのウラをいろいろ...

         

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 コメント(2件)

#1: waka @ July 22, 2009 [REPLY]
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この問題、未だに釈然としないのは、誰かが正解を言ってくれてないことなんですよねぇ。

例えば…
>許可なく他人を撮影した場合は肖像権の侵害に当たる
そのまとめ方で本当に正しいのでしょうか?
ケースバイケースですよね?
とか始まりそうです。

そのまま読むと、例えば、雑踏撮影なんか出来ないことになっちゃいそうですし、博覧会会場とかで撮影しようと思ったら、開門と同時にダッシュ。
他のお客さんがいない間しか撮影出来なそうです。
通勤電車とかって窓越しに莫大な人数が映り込むわけで…

いやいや、もちろん、現実的には大丈夫だろう…ってのはわかりますよ。(法律的に根拠があるわけじゃないけど)
これ、境界線はどこにあるんでしょ?
撮るのやめてって誰かに言われるまではOK?
ブログに載せるのは?

あるいは、根本的なところで、肖像権を侵害したところで罰則規定が無いから民事で訴えられなければOKってことなんでしょうか?
表現の自由とも絡んで難しいところですよね。
いろいろ調べても答がでないんですよ…うーん。

#2: もこ(管理人)さんからwakaさんへの返信 @ July 23, 2009 [REPLY]
user-pic

>>1 waka さん
初めまして。
ご質問の「雑踏撮影なんか出来ないことになっちゃいそうですし(中略)、これ、境界線はどこにあるんでしょ?」ですが、人に焦点を当てていたのではなく「雑感」つまり「風景が主体でたまたま人が写っている」場合は、肖像権の侵害に当たらないという判例があったと記憶しています。
過去の地裁判例で「東京駅丸の内口前の歩道を歩く人」を写真に撮ろうとしたら、不倫の関係にあった男女が腕を組んで歩いているところをたまたま撮ってしまい、当然ながら状況を知らない新聞社が写真を掲載してしまったことを理由に、男性が新聞社を相手取って慰謝料請求したという事案だったと思いますが、判決で「特定の人物を撮影していた訳ではなく、記事の内容と関連する写真を撮影・掲載する合理性があった」として請求を棄却したという記事を、新聞だったか判例雑誌だったかで見た覚えがあります。(詳細については後日報告できれば、と思います。)

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