交通ルール啓発ブログ
飲酒運転と当て逃げで逮捕された元警察官の判決公判を傍聴する。
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![]() 警視庁で交通安全対策を担当してきたという被告人に対する公判が行われた水戸地裁土浦支部。世間に衝撃を与えた事件ということもあり、マスコミ関係者の姿が目立った。 |
去年11月27日、茨城県稲敷市の県道で飲酒運転をして前方車両に接触事故を起こしながら逃走したとして、茨城県警に逮捕された元警視庁総務部施設課管理官(警視)・日高幸二被告(50)に対する判決公判(水戸地裁土浦支部 平成20年(わ)第900号 道路交通法違反事件)が今日行われた。 小生は、この事件を知ってから公判を自ら傍聴して被告人の言い分を直接聞きたいと考えていたが、今年2月18日の初公判を傍聴することができなかった。被告人は被疑事実を認めており、次回公判は判決が宣告されるという。そこで、小生は事前に裁判所に公判日時を確認して有給休暇を取り、判決公判を傍聴するために裁判所に赴いた。 |
当方が水戸地裁土浦支部に到着したのは午前9時15分頃。門前に警備員がいないのをいいことに、とりあえず裁判所の駐車場に車を停める。大抵の裁判所では、たかが傍聴人のために駐車場を用意しているところなどない。職員や警備員が飛んできて「とっとと移動しろ」と怒鳴ってくるのがオチだろう。もっとも、裁判所から100m程の土浦市立博物館には来館者のための無料駐車場があり、当然ながら利用するには入館料を支払う必要があるが、入館料はたったの105円(・・・
)。近い所に停められるのならばそれに越したことはないので、裁判所の職員に裁判の傍聴人が構内に車を駐車してもよいか訪ねたら、わざわざ裁判所の庶務課に確認してもらった結果、「空いている所に停めていいですよ」(・・・聞きておきながら一瞬あっけに取られる小生
)。裁判所に直接来る必要のない者の駐車さえ寛大な、それぐらい大きな事件のない小さな町の裁判所での公判であった。
そんな町にはおよそ似つかわしくないマスコミが押し寄せたのだから、裁判所に来た年配の女性は驚いて小生に「なにかあったのですか?」と訊いてくる。その報道陣も雑多というか、何気に裁判所の外から中継車を撮影していると車内から飛び出して「チンピラ」のようにこちらを睨む、マスクをつけたFテレビのスタッフ(あんたら他人を平気で撮影するくせに自分が取られるとムッとするのか?・・・腹立ったので睨み返し、その人物を撮影してやりました。)や、同伴出勤する銀座のチーママみたいな恰好のY新聞の記者・・・傍目にはいろんな人が見られて飽きない。
【追記 -2009.3.13 】
「大きな事件のない・・・」と書いたが、土浦市内の一家3人を殺害したとして一家の長男が殺人罪で起訴された事件が、この裁判所で昨年3~6月に審理されたそうである。(判決は、心神喪失状態にあったとして刑法39条1項を適用し、無罪。)
この時もマスコミが大勢駆け付けたほか、傍聴希望者は100人を超えていたという。
http://tk84.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/2_f361.html
よって、この部分の記述を取り消したい。
裁判所に入ったのは開廷予定時刻(午前9時55分)の10分前。既に傍聴席の4分の3が埋まっていた。"一般傍聴人"は周囲を見渡す限り、盛んにPDAを打っている40代とみられる男性(もしかしたら、"実況ブログ中継"でもやっているのか?)、50~60歳代とみられる男性、そして小生の3人。残りはキャンパスノート片手のマスコミ関係者が15~20人といったところか。裁判官が入ってきて廷内撮影が告知され、フジテレビの一台のみが撮影。(テレビ局は他に日本テレビがいたが撮影せず、TBS・テレビ朝日は来なかったようで当夜のニュースにも取り上げていなかった。)
裁判官は女性裁判官が一人だった。ショートカットの清楚な女性で見た目に若そうなので、「特例判事補」の単独審のようだ。なお補足すると、基本的に一人で裁判を担当する単独審は判事しかすることができないが(裁判所法27条)、「裁判官不足」を補うために任官してから5~10年の判事補の中から最高裁判所の指名を受け、内閣に指名を承認された者は「判事補としての職権の制限を受けない」、すなわち判事と同一の職権を行う事が出来る(判事補の職権の特例等に関する法律1条)。この指名を受けた判事補を「特例判事補」という。
撮影が終了したところで、日高被告が傍聴者出入口から一礼して入廷、更に法廷と傍聴席とを隔てる衝立の扉を開けて席に着く前にもう一度、一礼した。
裁判官は物静かな口調(というより、傍聴席前から2列目でもよく聞き取れない小声)で、「日高幸二さんですね。それではあなたに対する判決を申し上げます。」といい、判決文を読み上げた。
主文、被告人を懲役10か月に処する。この裁判が確定した日から3年間、その刑の執行を猶予する。
「裁判所が証拠を基に認定した事実によれば、被告人は警視庁の同僚らとのレクリエーションで酒を飲み、終了後は車内でしばらく休憩していたが、早く家に帰りたいがために自ら車を運転し、県道において前方を走る被害者の車両を追い抜く時に、被告人運転車両の左側面と被害車両の右側面が衝突する物損事故を起こした。しかし、被告人は飲酒運転の摘発を免れるために警察に申告することなくその場から立ち去った。」
そして、「酒酔いの状態で自動車を運転することは危険であり、警察官に事故を申告せずに立ち去る行為に緊急性は見いだせない。警察官である被告人の行為は国民の信頼を著しく損なうものであり、被害者との間で示談が成立しており被害者が減刑に同意しているとしても、罰金刑を選択する訳にはいかない」というのが、懲役刑を宣告した理由であると述べた。
その間、日高被告は神妙な面持ちでときおり唇を噛み締めながら判決文を聞き、裁判官が「当裁判所では懲役10か月と判断しましたが、3年間刑を猶予することにしました。よって直ちに身柄を拘束されることはありませんし、3年が経てば刑がなかったものとして取り扱われます。ただし、その間罪を犯して実刑判決を受けると猶予は取り消されます。不服の場合は14日以内に東京高等裁判所宛ての控訴趣意書を当裁判所に提出して下さい。」と、懇切でよどみのない説明をし終えると「はい。」と一言答えた。この一言が小生が聞いた唯一の被告人の肉声であった。
ひとつ、小生は腑に落ちない点がある。警視庁施設課のレクリエーションが行われたとする茨城県稲敷市浮島の霞ヶ浦湖畔はJR成田線佐原駅が最寄駅で直線距離がおよそ8km、しかも東京から佐原までは「特急あやめ」が運行しているが、時刻表を見ると事件が発覚した11月の午前中に東京から佐原へ、午後に佐原から東京へ向かう特急はない。車以外で行くとしたら、東京方面から1時間に1本しかない成田方面行の快速電車に乗り、成田駅で乗り換えて佐原に向かう各駅停車の鈍行電車に(成田エキスプレスは成田駅には停まらない)、更に佐原駅からバスに乗らなければならないほど、非常に交通の便が悪い所である。状況から判断して、到底日高被告ひとりが車を利用した=飲酒運転をしたとは思えないが、去年11月25日に日高被告を懲戒免職処分にした後の警視庁の調査結果と他の者の処分は聞かれない。「バレなければ悪くない」「正直者がバカを見る」ことを取り締まる側が示していなければよいのだが。
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